[ABOUT]
MONOCLE(モノクル)は、世界50カ国以上で販売されるイギリスのライフスタイル誌「Wallpaper*」を立ち上げたクリエイティブディレクター、タイラー・ブリュレ氏が、2007年に創刊したライフスタイル情報誌。
タイラー氏独自の視点で、ビジネスから文化、デザインの最新情報を発信しています。MONOCLEは、雑誌の域を超え、紙面と映像が融合したグローバルメディアブランドです。
トレンドの最先端を走り続けるタイラー氏とBROOKLYN MUSEUMは、これまで何度コラボを実現。タイラー氏との関係と最新のコラボについて、CEO草ヶ谷昌彦にインタビューしました。
INTRODUCTION
#006
MONOCLE
━ タイラー・ブリュレ氏との出会いは、いつ頃だったのでしょうか。
2007年のことです。それ以来、毎年お会いしています。タイラー氏はカナダ生まれで、BBCの記者としてキャリアをスタートさせ、紙媒体のジャーナリストに転身したのち、1996年に世界的に有名な『Wallpaper*』を創刊しました。世界中を飛び回っている方ですが、東京をとても気に入り、2007年の秋に偶然、南青山の路地裏にあったブルックリン(当時)を見つけ、その時に商品をとても気に入ってくださったんです。
━ その後、どういった経緯で一緒にものづくりをする関係性になっていったのでしょうか。
タイラー氏は、ものづくりに対するリスペクトも持っている方です。出会ってすぐに、BROOKLYN MUSEUMの革へのこだわりや情熱、技術力を高く評価してくださり、MONOCLE創刊以降、定期的にオファーをいただき、信頼関係を深めています。
━ 今回は、期間限定のコラボではなく、『MONOCLE』のレギュラーラインナップに並ぶアイテムを作りましたが、これまでとはどんな点が違ったのでしょうか。
今までは、タイラー氏の「こういうものを作りたい!」というアイデアを受けて、それを具現化するような形のコラボが主だったんです。個数限定の売切商品のようなイメージですね。今回は、いつもと少し違ってMONOCLEの定番アイテムを作る目的でプロジェクトがスタートしました。
━ つまり、お店で例えるなら、MONOCLEというお店の中に、BROOKLYN MUSEUMの常設棚ができたようなイメージですか。
そうですね。簡単に言えば、そのお店に置くためにタイラー氏のお眼鏡にかなうアイテムを作ろうという話ですね。
━ そのお話は、どちらからだったんでしょうか。
MONOCLE内で、「読者の方に“本当にいいもの”を届けたい」という話が出たことで、うちに白羽の矢が立ったという風に聞いています。嬉しいことに、タイラー本人がうちを指名してくれたそうです。タイラーとは、もう15年近い付き合いになるので、うちの革製品のクオリティを信頼してくれているのはわかっていましたが、一方でプロダクトに関して、とても厳しい方なので、そんなタイラーからのオファーに私自身、胸に熱いものを感じました。
━ 具体的なアイテムが決定するまでには、どのようなやりとりがあったのでしょうか。
MONOCLEが販売するアイテムの中で人気なのが、文房具ブランドの「DELFONICS(デルフォニックス)」とのコラボシリーズなのですが、そこにないアイテムを考えた時、うちで扱っているミニウォレットがちょうどいいのではないかと思い、提案させていただきました。タイラーもすごく気に入ってくれて、そこから話はトントン拍子に進んでいきました。
━ 色はどうやって決めたのでしょうか。
タイラーの好きな色がいくつかあって、なかでも一番好きな色がグリーンなんです。他には、ブラック、キャメル、オレンジも好きですね。話をする中で、タイラーが好きなグリーンは必須として、あとの2色は既存アイテムとのバランスで決定しました。その結果、ダークグリーン、ブラック、キャメルの3色でまずはスタートしようという話になりました。
━ タイラー氏との仕事を振り返ってみて、いかがですか。
タイラーは、とてもフレンドリーで優しい方です。ですが、いざ仕事となると、とても緊張する相手のひとりです。具体的なアイテムの話になると、眼光が鋭くなって“世界のタイラー・ブリュレ”になるんです。その瞬間、お互いスッと背筋が伸びる。その感じが僕はとても好きですね。
━毎年お取り組みをする中で、タイラー氏からダメ出し?指摘?を受けたことはありますか。
ダメ出しというか、「こうしたら、もっとよくなるんじゃない?」というようなやんわりとした意見をもらったことはあります。いつも穏やかな方なので、優しくしてもらっているのかもしれないですね。でも、彼との仕事は毎回、自分のその時の最大値を問われているようで、学校の実力テストのような感覚になり、いい刺激をいただいています。
━でも、オファーが途切れないということは、テストをクリアしているということですよね。
そう信じたいですね。そういう意味では、毎回オファーをしていただけるというのは、これまで出された課題をクリアすることができたということだと感じ、まるでテスに合格したような感覚です。。
━ なるほど。年に1回やってくる重要なテストということですね。
毎回、タイラーがサンプルをチェックしている時は、手に汗を握るぐらい緊張しています。依頼される時は、本当に軽いノリなんですよ。「こういうのできる?じゃあ任せるね。」みたいな。でも、具体的なアイテムを前にすると、もう別人です。でも、そうやって課される高いハードルを乗り越え続けることができたから、いまがあるわけですし、タイラーとの仕事は自分の限界を知ると同時に、新たな可能性や成長を感じさせてくれるとても貴重な方だと感じています。
━ そんな草ヶ谷さんとタイラーさんの渾身の力作は、どこで手に入れることができるのでしょうか。
実店舗は、代々木公園近くにあるThe Monocle Shop Tokyoです。あとは、イギリス、香港、イタリアにある直営店です。もちろん、オンラインショップでも購入することができます。まずは、ネットで見ていただいて、何かの折にでも店舗に足を運んでいただいて手にとってもらえたら嬉しいですね。
MONOCLE アジア支局長 フィオナ・ウィルソン氏