INTERVIEW
#005


HULS GALLERY SINGAPORE

[ABOUT]

シンガポールを拠点とし、「海を越え、工芸に新たな道を」というコンセプトでグローバルに工芸を発信し続ける〈HULS〉。
近年、芸術文化のハブとしてアジア圏だけでなく世界各国から現代アートやテクノロジーが集うシンガポール。
アートやグルメ、トラディショナルクラフトに敏感なオーナーたちが世界中から訪れる中、新たな流行の発信地として注目されているDuxton Hill(ダクストン・ヒル)に HULS Gallery Singaporeがあります。

取組に至ったストーリーをCEO草ヶ谷昌彦にインタビューしました。

メイドインジャパンに想いを馳せ続けた二人

━ ハルスギャラリーとの出会いは?

2016年にハルスの代表である柴田様が青山本店にご来店くださったんです。
その時は普通に僕が接客をさせていただいたんですが、後にお聞きしたところ当時日本に帰国した際、伊勢丹メンズ館でうちの商品をご覧いただいたそうで、色の綺麗なブランドだと思い、ネットで調べてご来店くださったとのことでした。

初めてご来店いただいた時は、マネークリップとコインケースをご購入いただいのですが、「革への情熱を淡々と、しかも長く語る男だな」と思われていたとかで・・・お恥ずかしい限りですが、淡々と語っているうちに1時間くらいアッという間に過ぎてしまうんですよね。

それ以来、帰国された際に度々ご来店いただき、少しずつブルックリンのコレクションを増やしてくださり、 青山本店でコーヒーを飲みながらお互いの仕事の話をしている中で柴田さんがハルスの代表だと知ったんです。
聞けば、シンガポールと日本を行ったり来たりしていらっしゃると。

━ ハルスはどのような会社なのでしょうか?

シンガポールを拠点とし、「海を越え、工芸に新たな道を」というコンセプトでグローバルに工芸を発信している企業様です。 国内外での小売・卸販売、オリジナル商品や展示イベントの企画・コンサルティング、オンラインメディアによる情報発信などをされていらっしゃいます。

柴田代表はシンガポール在住で、毎月日本中のいろんな工芸産地を巡り、焼き物や織物など、日本の伝統工芸と言われるものを作り手にインタビューし、バイイングされていらっしゃるんです。(※2020年以降は情勢を鑑み、中止されています。)

シンガポールは近年、芸術文化のハブとしてアジア圏だけでなく世界各国から現代アートやテクノロジーが集う場所。
アートやグルメ、トラディショナルクラフトに敏感なオーナーたちが世界中から訪れる新たな流行の発信地として注目されているDuxton Hill(ダクストン・ヒル)に HULS Gallery Singaporeがあります。
常時100 点以上の作品が並ぶギャラリーです。
シンガポールから日本各地へ飛び、作り手に直接インタビューを行い、そのコンセプトやポリシーに共感したプロダクトはどれも圧巻です。

率直に、日本の工芸品を海外から世界へ発信するって、素晴らしいなと感銘を受けました。
ジャパンクラフトの繊細さ、凛とした佇まいを感じさせるモノが日本だけではなく、海外の方の暮らしの中に共存しているって想像するだけで豊かですよね。

文化を紡ぐ

━ 取組のきっかけは?

ある時、日本のクラフト文化というコンセプトから、
「ブルックリンミュージアムの柿渋染めと藍染めのプロダクトを取り扱わせてもらえませんか」というお話をいただいたんです。
柿渋染めも藍染めもエイジングの美しさを追求した自信作です。日本でも約20年前の発表当初から熱狂的な愛好家も多い柿・藍シリーズ。
海外のお客様が青山本店にご来店いただく際、日本を感じるプロダクトとして指名買いされるファンも多くいらっしゃいますので、シンガポールでもこの優雅なエイジングは通なセンスの方に喜んでいただけるだろうと思いました。
発色が美しいフレンチカーフも同時スタート。

私たちのモノづくりはパッとした見た目だけではわからないところがたくさんあり、手間には意味があります。

手間をかけている意味はやはり使っていただいてはじめて「腑に落ちる」みたいなところってあると思うんですよね。

実際シンガポールでお買い求めいただいた方々が日本に帰国した際、青山本店へお越しくださり、商品の感想を聞かせていただくこともあるんです。
「こんなに美しくエイジングになっていますよ」と見せてくださり、ずばり、職人冥利に尽きますね。

━ シンガポールでポップアップストアをされたこともあるとお聞きしましたが、その時の様子をいかがでしたか?

2018年、伊勢丹シンガポール内にアトリエスペースを設営いただき、そちらでポップアップを行わせていただきました。
熱心にカメラを回してくださる方々がいらっしゃり、驚きましたね。
モノづくりへのプロセスを興味深くみてくれるんです。
1時間後に戻ってきてまた撮ってくださる方々もいらっしゃり、こういう熱量いいなぁ!と。
僕もエキサイトし、お客様とアイコンタクトをしたり、会話楽しんだりと海外の空気感を体感させていただきました。

世界のライフスタイルに寄り添えるモノを

━ その他のプロダクト展開はあるのでしょうか?

レザートレーやジュエリーケース、ゴルフボールケースなど、
ライフスタイルに寄り添えるプロダクトをコラボさせていただいています。

アジアの欧米会社はシンガポールに支社があることも多く、様々な国の方が在住しています。
海外はホームパーティーも多い文化なので、そう言った方達のライフスタイルに寄り添えるアイテムを提供したいと思ったんです。

そして、シンガポールは元々ゴルフの名門コースが結構あるのでゴルフユーザーの方々に向けたゴルフボールケースは反響が大きく、
「“自分の勝負カラー”としてとり入れてみたところ、いいスコアが出たよ!」という声も。

シンガポール経由のユーザーボイスを生かし、日本での販売に向け、ボールケースの他にヘッドカバーやアイアンカバーなども絶賛プロダクト中です。

シーンがガラリと変わりますが、シンガポールでミシュランをとっていらっしゃる「Terra Tokyo Italian」樣のサインボードをコラボさせていただきました。
シェフは同年代の日本人。実際僕も伺ったのですが、日本の食文化をイタリア料理で表現されており、お料理はもちろんのこと器にもとてもこだわりを感じる素晴らしいお店です。

━ 青山本店で工芸イベントを開催予定とお聞きしましたが、どのようなイベントなのでしょうか?

ハルスが「涼」をコンセプトとした「KORAI」というオリジナルブランドがあります。日本文化の持つ「内と外」「自然と住まい」の調和を表現し、家屋に備わる縁側のように自然から涼を取り入れる文化にフューチャーしたブランドです。世界の都市の暮らしに、涼やかな癒しの時間を与えてくれる優雅さ・・・想像するだけで穏やかな風を感じますよね。

特に僕が好きなアートピースは「水の器」。
ガラスの器に水を灌ぎ、その水の影を愛でるための器なんです。
影の移ろいを愉しむって発想には、ただただ感動しました。

その他にも素敵な作品たちがありますので、私たちのお客様にもぜひご覧いただきたいと思っているんです。
メイドインジャパンという共通点のあるレザープロダクトと工芸品を並べ、美味しいお酒を嗜んでいただくイベントを予定しています。
情勢が落ち着きましたら必ず開催しますので、楽しみにお待ちいただきたいと思っております。


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