アンディ・ウォーホル、サルバトール・ダリ、マドンナ、ジョアン・ジルベルト、など、1970年から1980年代にかけてニューヨークで撮影した、写真家 土井弘介氏の個展を開催いたします。
土井弘介プロフィールストーリー
(奇跡の出会いNYC(1971-1986)~カメラと仲良しだったから~ より、抜粋。)
1971年5月 大阪万博後にやってきた閉塞感を打開しようと30歳で初めての海外旅行へ。
当時の外貨持ち出し制限額$500(18万円)とカメラ2台を持って飛び出し、カナダを横断。
財布が空になる寸前にモントリオールで写真スタジオに飛び込み、奇跡的に扱用されるも2ヶ月程で辞職。
行くつもりなどなかったNew Yorkに漂着。この街はでっかい劇場だった。
たった一人だけいた知人の助けを得て住むこととなり、ここで幸運に恵まれ、ビジネスショーの企画制作をする「think Groupe」のフリーランス助手として籍を置くことになった。
あっという間に3年が経過し、写真関連の定職を探していると、この街には「フリーランスフォトグラファーズアシスタント」という写真家志望の連中がいて、情報交換をしていると耳にする。
大都会だけあって、世界中の国々から取材や撮影で写真家がやってくるが、何せ土地感がない私は、ロケ地案内や業界の案内役として現地にいる助手を雇うことになる。そんなクループに知り合いができた。
すると1974年3月、ある写真家がパートタイムの助手を探しているから会ってみては、との知らせが入った。
まだ言葉もたどたどしい中、勇気を出して面接に向かうと、その人はなんと写真界の巨匠ヘルムート・ニュートンだった。
簡単な質問を受けると、翌日採用の電話が入った。奇跡が起きた。依頼は、プレイボーイ社の男性雑誌「OUl」のファッションページの水着撮影。
NYはまだ寒い時期なので、ロケ地はカリブの島国ハイチに1週間滞在予定だった。ケネデイ空港でヘルムート・ニュートン、AD、3人のモデルと合流し出発した。
暖かい島のホテルでの撮影は、プールとロビーを使い、行われた。
撮影の途中でヘルムート・ニュートンに要求され、自分がモデルにも起用され、雑誌に登場するというハプニングもあり、夢のような仕事だった。
ここから、私の様々な奇跡が始まったのだった。
土井弘介氏とディレクター内藤ハルミとの出会い
きっかけは、2019年12月。
知人宅にて、土井さんの個展が開催され、そこで観た数々の著名人の写真の中に、アンディウォーホルの写真がありました。
ブルックリンミュージアムは45年前、ポップアートからインスピレーションを受け、プロダクト化したことがきっかけで誕生したレザーブランドです。
アンディウォーホルのカラークリエーションのメソッドは今も尚、私達のプロダクトに欠かせないエッセンス。
私たちを含め、数多くのクリエーターに大きな影響を与えたアンディウォーホル。彼を撮影された土井さんとの出会いは、私にとって奇跡のような出来事でした。
2020年2月、恐れ多いと自覚しながらも、勇気を振り絞り、こう伝えました。
「ブルックリンミュージアムで、個展を開催していただけないでしょうか」
土井さんは「僕は表参道で個展をやってみたいな、とずっと思っていたんです。願っていたら、夢は叶うんですね。」と。
私は、このお返事に、 “人は感動するために生まれてきた”という言葉の意味を再確認したことを覚えています。
その日から開催に向け、「さぁ!」という矢先に、コロナが流行。
一旦断念せざるおえない状況となりながらも、いつか必ずという思いを抱き、この3年、土井さんの暮らす長野と私達が暮らす東京とで、お手紙やお互いが好きな御菓子を送り合うなどの交流をし、heart to heartのお付き合いをさせていただきながら、“その時”を待っていました。
そして、2023年、10月。
土井さんが営んでいる長野県にある珈琲工房cafe DECOへ出向き、「“その時”がきましたね!」と、喜びを分かち合い、写真を選んでまいりました。
土井さんはこう言います。
「今まで、思いもよらない人と出逢い、いろんな景色をみれたのは、好きなことをし続けたからや。
名誉も地位もないが、たった一人の縁から、思いも寄らない人達と繋がれた。連鎖の奇跡やな。」と。
個展では、皆様と素敵な連鎖が起こることを楽しみにしております。
ブルックリンミュージアム ディレクター
内藤 ハルミ
個展に先駆け2023年10月開催されたトークイベントの1コマをご紹介します。
現在87歳の土井さんは、とてもフレンドリーなお人柄。イベントには、約50名ご来場くださり、北海道や大阪からこの日のためにいらっしゃっていただいた方も。
土井さんと著名人との話は、まるでおとぎ話のようなエピソードばかり。皆様ワイン片手に酔いしれながら気持ち良さそうに耳を傾けてくださいました。
土井氏と著名人との数々のエピソードの中から、「アンディウォーホル」の一部をご紹介させていただきます。
<アンディウォーホル>
今から約50年前、当時ニューヨークセレブのライフスタイルにスポットをあてた「キュー」という雑誌があったんや。ジーンズもまだないニューヨークは、品のあった時代やった。
ディスコに取材にいくと、行くとこ行くとこにウォーホルがいるんや。取り巻きと一緒にね。確か、バスキアも連れていたと思う。
行く先々、ファッションショーや誕生日パーティーの取材、そして街中でもバッタリ会う。
僕はいつもカメラを持ち歩いていたから、向こうも「あっ」みたいな顔をして。
ウォーホルは、いつも異様なミステリアスな雰囲気を纏ってましたね。
アンディは、どこに行ってもモテててた。人が寄ってくる。目が合うと、ドキッとさせられる。それが魅力なんやな、と感じたね。
個展は2024年春頃までを予定しております。
ぜひこの機会に足をお運びいただけましたら、幸いです。