もの作りを支える「手」 ─#01 裁断 編

ブルックリンのもの作りを支える「手」は、ひとつではありません。

財布を1点作るにも、何人もの「手」が携わり、作り上げていく──
それは、僕らブルックリンの職人だけでは成し遂げられない事。

しかし、たくさんの技術をその“手”と“頭”に蓄え、日本をもの作りの国へ押し上げた、世界へ誇るべき「職人」たちが、様々な理由で年々減少しつつあるのも事実です。

ここでは、そんな職人さんたちの「手仕事」を少しでも伝えていければと思っています。

まず、ブルックリンのもの作りに必要なのは「革」。
これは言うまでもありませんね。

日本のタンナーさんと試行錯誤で作り上げた「ヤマト」の話は、別で語っているので、ぜひそちらも見てみてください。


こだわり抜いた革を仕入れた後、製品作りのために行う事。
それが、今回のテーマである「裁断」です。

「裁断」= 一枚の革から、作りたいアイテムのパーツを、抜き型(金型)を使ってカットしていく工程

大前提として、人がみんな体の大きさが違うように、革もそれぞれ大きさは違います。
そして、布や生地のように全てが均一な形・質の革は、絶対にありません。

だから、革の裁断は神経を使います。

なぜなら、革は一枚の中でも部位によって“柔軟性”や“エイジングの仕方”が変わり、繊維の向きによっても使い込んだ後の表情が変わってしまうから。
特に、ブルックリンが求めるクオリティの革はそこまで大きくないため、小物を取れる面積も限られています。

さらに、ブルックリンの品質基準をクリアする部位は限られていて、端から端まで全てを使えるわけありません。しかも、アイテムやパーツ箇所によっても「ハリが欲しいところ」「なるべくソフトに仕上げたいところ」など、使う部位を分けています。それが数十パーツにおよぶアイテムもあります。
単調にカットしていけばいい、ということでは無いのです。


恐らく、ここまで説明しただけでも、「そんな気を遣わなくても・・・」と思われるかもしれません。実際、裁断を頼んだ職人さんに「ブルックリンの仕事は面倒だから嫌」と断られたこともありました。

職人さんたちは“1日でどれだけの量を裁断できたか”で食べていく仕事。
こんな手間のかかる仕事は出来るだけ避けたいはずです。

それでも、僕らは、「気に入ったものを長く、楽しく、使ってほしい。だからどの工程も少しも妥協したくない。」という想いを伝え続けます。

「いちいち細かくて大変だけど、まぁやりがいがあるよ。」

と、ちょっとぶっきらぼうに笑いながら、いつも完璧な仕事をしてくれる、暖かい「手」に出会うことができました。

この職人さんがいなければ、商品作りのスタートさえ切れない。

とても大切な仕事です。


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もの作りの現場から